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リスクマネジメント Lesson
 3.リスクの認識
 
 
◆排除すべき4つの「あ」  ◆リスクの分類  ◆手法  ◆現場のリスク
◆戦略リスク  ◆コンプライアンス  ◆財務リスク
 
 
手法
 リスクの認識は、通常以下の3つの方法で行われます。
 
 
チェックリスト
 社員にリスクに関する知識があまり無い場合、一般的なリスク要因を予めリストアップし、それらの項目が顕在化する可能性と影響度を記入してもらいます。社員は回答することによりリスクのイメージを理解し、リストに無いリスクの起案へと発展する期待があります。
 
 
インタビュー
 リスクマネジャーが各現場担当者に質問を投げかけ回答してもらうことにより潜在するリスクを引き出します。現場担当者に直接接することにより、日常業務の実践的リスクを認識することができると同時に、リスクの影響度をリスクマネジャーが肌で感じることができます。しかし、社員数によってはかなりの時間を要するため、通常は責任者レベルのみが対象となり、責任者にリスク感度が低い場合リスクを見落とす可能性が残ります。また、インタビューを行うリスクマネジャーも、ある程度の現場知識が必要となることが多くあります。
 
 
自活サークル
 各現場担当者を小グループに分け、ブレーンストーミング等のツールを用い、担当者がこれまでに経験したヒヤリハット(実際に事件・事故にはならなかったが、その可能性があった事象)や同業他社で実際に起こった事故、日常業務で想像すると背筋がぞっとする事象等、発想を豊かに持ち、考えられる可能性を全て出し合います。ブレーンストーミングのルールとして人の意見を否定しない、くだらない意見ほど歓迎する等がありますが、リスクマネジメントの洗い出しにおいては、追加ルールとして前に説明した4つの「あ」を排除することが重要となります。多くの企業は「チェックリスト」または「インタビュー」の手法を用いていますが、理想としては全社員が参加する「自活ルール」の形式が望ましいと考えられます。
 そのためには、全社員がリスクを理解し、それを認識する感度を向上させる必要があります。
 
 
  工場火災を例に考えてみましょう。組織の各部門が工場火災によりどのような影響を受け、どのようなリスクにさらされるのでしょうか?まず、財務担当者は工場という財産および製造停止による損失といった金銭的損失を心配する必要があります。営業担当者は、製造停止により得意先への商品納品が停止することを想定します。人事、総務部は、火災による負傷者の有無、近隣住民への損害、迷惑、法務担当者は火災発生に関わる賠償金や法規制違反等の確認と法的責任、広報担当者は説明責任と報告、謝罪方法を考えなければなりません。工場火災1つの事件でそれぞれの部署が役割を把握し早急に対応できるか否かは、その組織の信用問題へと発展することは明らかです。
 
 
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