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リスクマネジメント Lesson
 3.リスクの認識
 
 
◆排除すべき4つの「あ」  ◆リスクの分類  ◆手法  ◆現場のリスク
◆戦略リスク  ◆コンプライアンス  ◆財務リスク
 
 
リスクの分類
 企業が自社の潜在リスクを認識する際に柱となるのは、組織内部に要因が潜在するリスクと組織外部に要因が潜在するリスクです。
 
 
組織内部要因
 組織内部要因は、さらに財務、コンプライアンス、オペレーション、戦略の4つのカテゴリーに分類すると理解しやすくなります。全社的に潜在するリスクを洗い出すと、とてつもない量のリスクがリストアップされます。多くの企業は、その数を見ただけでリスク管理への意気込みを失ってしまうようです。

 エンタープライズ・リスクマネジメント(全社的リスクマネジメント)体制におけるリスクマネジャー(リスク管理担当者)の仕事は、認識された全てのリスクを管理することではありません。リストアップされたリスクの管理をするのは、その要因に最も近い担当者の仕事です。この要因に最も近い担当者を「リスクオーナー」と呼びます。リスク管理は各リスクのリスクオーナーを明確にすることが重要です。

 通常、財務リスクは経営者と財務、会計担当者、戦略リスクは経営者と戦略担当者、オペレーショナルリスクはそれぞれ各部門の担当者、そしてコンプライアンスは専門担当者および全社員がリスクオーナーとなります。

 例えば、安全や品質に関する製造現場のリスクは、その現場で働いたことのない人が認識するには限度があり、管理することは困難であるため製造現場のリスクオーナーはその部署の社員が担当します。一方、現場の人間には前回取り上げた「あたりまえ」感から、認識しづらいリスクも存在します。米国では、リスクマネジャーが社内コンサルタントとしてリスクを認識する視点のアドバイスや質問の投げかけを行っています。
 
 
組織外部要因
 組織外部のリスク要因は、市場・社会の変化を筆頭に災害関連、法規制の変化と3つに大別することができます。

 外部的要因では特に、1つの事象による影響を考えるのではなく、事件、事故発生後徐々に影響を受ける場合があるので、常にアンテナを張り巡らす必要があります。

 例えば、中国や東南アジアで台風や大地震が発生した場合、現地に工場を所有していない限り直接的影響はありませんが、製造業などの場合製品の部品が被災国で生産されている可能性は高く、部品が納入されないリスクが浮上します。部品が納入されないと、最終製品が完成せず他国の災害で自社の運営がストップされる状況となります。これは国内においても同様であり、新潟・中越沖地震で車両部品製造業社が被災し、日本の車両製造ラインの多くが停止せざるを得ない状況に陥りました。

 これが、近年BCP(事業継続計画)の構築が迫られるサプライチェーンにおけるリスクです。
 
 
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