協会概要
ARMJ 理事長ごあいさつ

ご挨拶

 日本にリスクマネジメントを最初に紹介したのは高木秀卓氏による『米国におけるリスクマネジメントの概要』(損害保険研究誌、1957」)と言われています。(※)
 それから約半世紀後の1996年にリスクマネジメント協会が設立、初代理事長の前川寛先生が名著『リスクマネジメント』(ダイヤモンド社)を上梓し、リスクマネジメントの全体像を表すとともに、次のような方向性を示しました。
前川理事長
リスクマネジメント協会
理事長 黄野 吉博
1. 社会、企業、個人において、これからの時代はリスクを管理することが非常に重要
2. リスクへの取り組みを考察するには、ケーススタディ(事例研究)が有益
3. 日本の伝統・現状を踏まえたうえで、さらに将来を先取りした国際スタンダードの構築が望ましい

 以来、協会はリスクマネジメントの普及と啓発を目的に活動し、リスクとは何か、リスクを管理するとはどうあるべきかを会員の方々とともに学び、歩んでまいりました。今もリスクマネジメントへ取り組む姿勢は変わりませんが、激変する環境に合わせてその考え方は大きく変化し、現在も進歩し続けています。

 方向性として示された3つを現在の視点から改めて見なおすと、以下のことが言えます。

リスク管理の重要性はますます増しており、さらに極端な気候変動やIT/AIリスク等の新たなリスクが顕在化している
地震や洪水などの自然災害、火災や大気汚染といった都市災害、産業災害(労災)や交通事故などの人為災害、パンデミックなどの特殊災害については事例研究が進んでいるが、今後は組織の経営戦略リスクについての事例研究が望まれる
リスクマネジメントの国際規格(ISO31000)が発行され、日本でもこれをJIS(日本工業規格)として公表しているが、日本の伝統・現状に即しているかについては議論の余地がある

 リスクマネジメントには、理論を探求し社会に寄与する分野と、臨床的に事例を収集・分析・整理し、ベストプラクティスを社会に提示する分野があります。当協会では後者の分野に重きを置き、日本企業はもとより、世界最大のリスク専門家組織である米国RIMSの日本支部という立場から、これまで以上にRIMSとの連携を深め、グローバルな最新情報の発信や組織リスクの研究を進めて参ります。

 リスクマネジメント協会のさらなる発展に向け、会員の皆様のご協力とご助言、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

※『米国におけるリスクマネジメントの概要』高木秀卓(損害保険研究誌、1957)
(原典)Insurance:Its Theory and Practice in the United States.
By A.H. Mowbray and R.H.Blanchard. [McGraw-Hill, 1955]

プロフィール

リスクマネジメント協会 理事長
黄野 吉博
(こうの よしひろ)

 国際電信電話株式会社、SEMI(半導体製造装置材料協会、米国シリコンバレー)を経て、 社団法人日本工業技術振興協会(JITTAS)理事(2008年4月‐2010年3月)、JITTAS副会長(2010年4月‐2012年5月)、 一般社団法人レジリエンス協会代表理事(2012年6月‐2020年5月)、一般財団法人リスクマネジメント協会理事(2013年4月‐2025年5月)、同協会理事長(2025年6月‐)

【著書等】「事業継続マネジメントシステムの構築と実務」編集責任者、共立出版社、「事業継続マネジメント入門」編集責任者、共立出版社、「企業のレジリエンシー事業継続マネジメント」監訳者、日刊工業新聞社、他 【論文】「事業継続マネジメントの考え方」、「事業継続計画(BCP)の本質」、「レジリエンスと事業継続マネジメントシステム」、他