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リスクマネジメント Lesson
2.リスクマネジメントの必要性
 
 
規制緩和  ◆グローバル化  ◆社会的責任の要請  ◆情報技術の革新
メインバンク制度崩壊  ◆雇用形態の変化  ◆気象の変化   ◆法的要請
 
グローバル化
 規制緩和に伴い、様々な分野でグローバル化が進められました。
 金融商品取引、貿易、物流ネットワーク、ITの革新などにより市場は世界規模へと急速に広がりました。製造業においては、完成品の部品が数十カ国から取り寄せられているケースは稀ではなく、海外の政治リスクや自然災害は他国でありながら直接影響を受ける可能性が拡大しています。しかし、グローバル化に関わるリスクは、それだけではありません。
 
 経済のグローバル化を考える際、一般的に日本企業の海外進出を視点とするため、多くの国内市場対象企業の経営者は関心を持ちません。しかし、グローバル化の視点は日本市場にも置く必要があります。規制緩和により、日本市場が海外企業へも解放されたことは既に述べました。日本市場がグローバル化するということは、日本国内での商業取引においてもルールが世界基準に変更されつつあるということです。直近では会計分野が新基準へ移行されます。
 世界基準の商取引の基本は「公正さ」「透明性」「説明責任」の3本柱です。当たり前のように思えるこの3本柱が、実はこれまでの日本社会文化と相反しているのです。
 
公正さ
 日本では、「本音と建前をうまく使い分けることが大人のやり方」と評されてきました。しかし、世界基準でいう公正さとは、本音と建前があってはならないのです。

透明性
 透明性とは、株主のみならず、ステークホルダーに会社の会計、運営状況が見えるようにすることです。しかし、日本社会では「よしなに・・・」という言葉が広く使われていました。よしなにとは、特に問題にならないようにしてくれれば、結果さえよければ不透明でも構わない、といった意味合いを持ちます。

説明責任
 説明責任においては、日本では「申し訳ありません」と頭を下げ、担当者が辞任することで全てを煙に巻く慣習があり、説明責任を果たす重要性を理解していない経営者が多いようです。

グローバル化
 
 近年発生している企業不祥事のほとんどが、昔ながらの日本的企業文化を改善せずに続けていたことが原因であり、その企業体質の変更を拒んでいるのが、経営陣であることが多いようです。
 
 現代のリスクマネジメントで対象とするリスクは、「目的達成を阻害する要因全て」であることは説明しました。リスク要因は、災害や事故、不景気といった外部からのマイナス要因だけではなく、時代の流れや改正されたルールに対応できないという組織内部の問題がリスクとなることが多々あります。この種のリスクが顕在化した場合、会社の信用や名声といった日本市場で最も重要とされる柱を倒壊させる可能性が高いのです。同時に、この種のリスクは認識しずらいため、職員全員がネットワークを広げ、常に情報収集を行い、社内で共有する必要があります。
     
     
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