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リスクマネジメント Lesson
 6.リスクの管理・対策
 
◆リスクの管理・対策①    ◆リスクの評価・査定②
 
リスクの評価・査定②
 リスクへの対応は、回避、低減、移転、保有の4分類に分けることができます。
 この4つの対応はさらに

・対策を講じる → 低減、移転
・対策を講じない → 回避、保有

 上記2つに大別することができます。
 
  認識されたリスクを評価・査定したあと、まずはそれらに対策を講じるのか否かを経営者は判断しなければなりません。「リスクを回避する」という表現をよく耳にしますが、リスクマネジメントにおける「回避」はやや別の意味を持ちます。 回避とは、予想される損失が発生する根源を断つことです。

 例えば、企業が工場を所有する場合、大地震による工場の破損、倒壊、業務停止による売上の損失などがリスクとして考えられます。 大地震による損害リスク回避とは、震度10を超える地震にも耐える工場を建設することではなく、「工場を持たない」という選択を指します。しかし、工場を持たなければ企業運営は成り立たないわけで、企業では「回避」という選択肢はほとんどありません。唯一考えられるのは、新規プロジェクトの実施において、そのプロジェクトによる利益とリスクのバランスを検討し、結果的にプロジェクトを実施しなかった場合、「リスクを回避した」という表現になります。
 
 リスクを保有するとは、リスク潜在を認識しながら、低減や移転といった対策を講じないこと、または対策を講じながらも残存するリスクのことをいいます。

 わかりやすい例では、自動車保険があります。自動車保険では保険を購入した際、免責を設定することができます。この免責とは、例えば100万円の保険を購入し免責を30万円に設定すると、30万円までは保険購入者が負担しそれを超えた分のみ保険会社が保険料を支払う、という制度です。保険会社が保険料を支払う責任が30万円分免除になるため免責と呼ばれます。

 自動車事故の場合、事故件数と損害額はきれいな反比例ではありません。低額損害の事故件数がはるかに多く、高額になるにつれて件数は極端に少なくなるため、保険会社としては少額の事故を免責にしてもらうことにより、保険金支払い件数が大幅に減少するため、保険料を低く設定できるのです。保険購入側にとっては、この免責額が損失を保有する額であり、損害が100万円の事故が発生すると、70万円は保険金が支払われるため自分の損害は免れます。この70万円は、後に解説するリスクの「移転」と呼ばれます。
 
 
 リスクを100%管理することは不可能なため、企業はどのリスクにおいても一部のリスクを保有していることになります。リスク管理では、どの程度のリスクを保有しているのかを理解することが重要です。
 
 
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【リスクマネジメントレッスン‐目次‐】
| 1.進化するリスクマネジメント | 2.リスクマネジメントの必要性 | 3.リスクの認識 |
| 4.リスクマネジメント・プロセス | 5.リスクの評価・査定 | 6.リスクの管理・対策 |
| 7.リスク・チェーン | 8.BCP(事業継続計画) | 9.緊急時対応 |
| 10.リスクファイナンス | 11.モニタリング | 12.リスクに強い組織体制 |