気候変動による死亡率が、世界の一部地域でがんと肩を並べるおそれがある。2023年3月、国連開発計画(UNDP)はそう発表した。温室効果ガスの排出量削減をはじめとする緩和策とともに、一刻も早く世界が足並みをそろえてこの状況に適応しない限り、多くの人々が生存を脅かされ、生活の基盤を失い、不平等さと格差の拡大が地政学リスクを高める。当然ながら企業の寿命も、こうした現実に大きく左右される。
世界の経営者たちはすでにそのことを理解している。世界経済フォーラムのグローバルリスクでは近年、かつての経済に関するリスクに代わって気候や環境に関するリスクが上位を占める。気候変動が業績そして事業の存続に大きく影響することは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が気候変動によるリスクと機会に関する開示を求めていることからも明らかだろう。気候はすでに非常事態にあり、気候クライシスはいまや最大の経営リスクの一つとなった。 |