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 【特集】仕切り直しのカスタマーハラスメント対策

 パワハラ、セクハラがわずかだが減少している一方、顧客や取引先からの暴力、暴言、悪質なクレームなどのカスタマーハラスメント(カスハラ)については増加傾向が認められる。「お客様」と接することの多い流通やサービス業のみならず、役所や医療機関などでも、放火や殺人などの重大事件が発生している。そうしたモンスター顧客に対峙するのは、本来ならば従業員個人ではなく組織であるはずだが、現場任せにされるケースが少なくない。組織のリスク対応が、個人に投げられてしまっているのである。

 本特集ではまず、こうした実態を「組織資産」の文脈で検討する。疲弊する従業員のケアにとどまらず、長期的なワーク・エンゲージメントや生産性向上の観点からとらえると、カスハラ対策の新たなアプローチが発見される。
 一方で、企業リスクとして改めて認識し、法的および社会的な責任をしっかり果たす必要があるのは言うまでもない。ここで軽視できないのが、自社の従業員が取引先の担当者などにハラスメント行為をしてしまうパターンである。加害側のリスクはより重大なため、外部に開かれた窓口の設置など、社会の信頼を得るための取り組みが欠かせない。
 カスハラの被害が特に深刻とされるのが、働き手の「感情」そのものを商品とする感情労働の現場である。サービス業や小売、医療・介護職などがその代表例とされるが、ほとんどの仕事でカスハラリスクをゼロにすることはできない。筆者はそれを野球のデッドボールに例え、避け切れない球がある以上、感情労働のプロとして、より良く向き合う視点と術を身につけるのが賢明だと説く。

 残念ながらカスハラの根絶は期待できない。だからこそチームで守り、戦うともに、自らが加害側になって………